虫の園

この夏から、息子は虫に夢中だ。
虫の世界は、入り込んだら、出られない。

クワガタの卵をもらって、幼虫を育てることから始まり、
田んぼや川のそばでたくさん飛んでいる、
トンボを毎日追いかけている。
捕まえられそうで捕まえられずに、
空高く飛んでいくオニヤンマ。

畑の草の中で飛びはねる、バッタやキリギリスを手で捕まえては、
じっと見つめている。
セミの抜け殻をたくさん集めるけれど、
鳴くセミの姿は、なかなか見つけることができない。
ハチが飛びまわる音が聞こえてくれば、
じっと動かずに待っている。
日々、いろんな命に触れ合いながら、
いろんな「すごい!」に出会っている。

虫ではないけれど、夏のはじめに、
いっぱいカエルを捕まえて、カエルの不思議に触れていた。
自分より小さいものを手に取って、
弱らせてしまったり、死なせてしまったりを繰り返し、
命についても考えるようになった。

ハチの怖さを伝えたときには、
「じゃあ、なんでハチがいるの?」と聞いてきた。
ハチもほかの虫も、自然界にはかかせないものだ。
自分と虫がつながって、虫と世界とのつながりに広がる。

この前、森で「トンボがいないね」と言ったら、
空を見上げて、「木の上の高いところにいっぱいいるよ!」と教えてくれた。
子どもは、よく見て、観察している。

清々しいほどの、熱中する力と、夢中になれる力。
彼から教えられることが、毎日、たくさんある。

「明日も、畑にトンボ探しに行きたいよ!」
ここは、みんなの楽園だ。