収穫の朝

一年ぶりの、スペルト小麦の収穫。
いつも、収穫の初日は、緊張する。
今年もよい小麦がたくさんとれますようにと、
祈りながら、畑に向かう。

日本では、小麦の収穫は、梅雨の時期。
天気予報と空の雲と、にらめっこをして、
晴れ間を見ながら、作業を進めなければならない。
雨が降った後は、乾いている様に見えても、畑の地面近くが濡れている。
そのまま収穫すれば、穂が濡れてだめになるので、
焦る気持ちを我慢して、じっと待つことも重要だ。
収穫をしていて、雨が降りそうになれば、
刈り取った小麦をだめにしないよう、収穫の機械を濡らさないよう、
万全を期して、すみやかに片付けをしなければならない。

収穫をしても終わりではない。
乾燥という作業が待っている。
乾燥機を持っていない僕は、小麦を天日で干している。
むらなく乾くよう混ぜながら、広げて干していく。
収穫と同時進行の作業だ。

この時期は、半端なく重労働だ。
八百万の神に祈りを捧げながら、ただただよい小麦になるよう、動き続ける。
昔から、人々がすがる思いで、豊作を祈願する気持ちがよくわかる。
自分で作物を育てるようになってから、食べ物のありがたみがわかり、
また容赦しない自然の恐ろしさもわかった。

収穫も、七年目か。
毎年、違う天候に左右され、色々な収穫期を経験して、
なんだか今年の初日は落ち着いていた。
自然には抗えない。
完璧な年なんてないし、毎年、予測がつかない。
僕が今、できる最大限をしよう。
よい小麦ができたねと、小麦に感謝されるように、頑張るだけだ。

小麦の声に耳を傾けて、
暑い日差しに感謝をして、
さあ、今年もよろしく。