僕の役目

春から夏にかけての農作業のほとんどは、除草作業だ。
春頃、まだ小麦の背が低い時期には、
小麦の列の間には、どうしても雑草が生えてくる。
小麦の間の雑草刈りは、小麦を刈らないよう、神経を使う。

だんだんと暖かくなってくれば、
小麦は、雑草の丈をはるかにしのぎ、ぐんぐんと成長してくれる。
暑い夏になると、今度は、畑のまわりの雑草が、
日光をさんさんと浴びて、勢いがすごくなってくる。
梅雨になれば、一雨降るごとに、驚くほど伸びる。

除草は、地味な作業だが、けっこう労力を使う。
どんなところでも、強く伸びようとする雑草は、
ある意味すごいなあ、と感心してしまう。
よりおいしいパンを作るため、よりのびのびと小麦には、育ってもらいたい。
よりよい畑に管理するのが、僕の役目。

除草をすると、畑の栄養分がしっかりと小麦にいくのはもちろん、
畑全体の風通しがぐんとよくなる。
人間や家にとって、風通しが大切なように、
植物にとっても、風通しはとても大事だ。
地面近くの茎も蒸れずに、元気よく、健康的に成長してくれる。

風と一緒になって、小麦が揺れて、踊っているように見える。
自然は、力強く、美しい。

小麦よ、もっと深呼吸して、風を感じて、光を浴びてくれ。
ああ、僕は、畑が大好きだなあ。