森の初夏

早いもので、もう6月。
今の季節は、ハルゼミの心地よい鳴き声が響き渡っている。
初夏の森でしか聞いたことがないハルゼミの声。
雨が降った日は、降り終わったとたんに一斉に鳴き出す。

森に住んでいると、色々な音が耳に入ってくる。
春から秋までは、まだ薄暗い早朝から、
小鳥がしきりに鳴いて、まるで目覚まし時計のようだ。
たまに、ひまわりの種をあげるのだが、お腹がすいているときは、
家の窓に止まって、欲しいと言ってくる。

春からは、小鳥の繁殖のシーズン。
自分で作った巣箱を何カ所か置いていて、
毎年必ず入って、卵を産んでくれる。
巣箱に入ってくれるのは、人懐っこいシジュウカラとヤマガラ。
巣箱の奪い合いをするときもある。
巣箱に入ってからしばらくすると、赤ちゃん鳥のかわいい声が聞こえてくる。
それからまたしばらくすると、巣立った小鳥が、
森の中で、飛ぶ練習をしているのが、なんとも微笑ましい。

森が静かな時は、風の音がする。
木々の葉が揺すり合い、それは爽やかな音で、演奏をしてくれているよう。
葉がすべて落ちる冬にはない、風の音。
森の中は、本当に、自然の音楽が心地よい。
僕の2歳の子どもは、すべての音に敏感に反応しているようだ。
セミ、小鳥、風の音。虫の飛ぶ音。
聞いたことがない音に出会うと、「これなに?」と耳を澄ましている。

子どもにも大人にも、自然の音は、すべて優しい。
美しい自然の中、澄んだ空気の中で、パンを作る喜び。
この環境に感謝を込めて、それをパンに詰め込んで、
今日も、皆様に届きますように。