オーガニック

オーガニックであること。
それが、原材料として使用する前提だ。

パンの材料のほとんどを占める小麦は、自家栽培のスペルト小麦。
農薬や化学肥料は使わずに育てている。
というと聞こえがいいが、春から夏にかけては、除草作業に追われる。
そして、追いつかれて、追い越されそうになることも。
雨が降るたびに、雑草はすごい勢いで育っていく。

大変だけれど、あくまでもオーガニックでやりたい。
理由は、シンプル。
そうである方が、体にも環境にもいいから。
山あいに住みながら、農業をしていると、
自然は循環し、次世代に続いていくということを改めて感じる。

ヨーロッパを旅した際に、オーガニックがとても浸透しているのに驚き、
日本もそんな社会になったらいいな、と思った。
そして、小麦や果樹、アーモンドやオリーブなど、様々な有機農家で研修をした時に、
たくさんの素晴らしい出会いがあった。
どの農家も、苦労は人一倍で、手間がかかるのに、
楽しそうに仕事をしていて、とても気持ちがよかった。
そこで、愛情をかけた「おいしさ」の素晴らしさにも出会った。

ベーカリーでは、小麦以外の原材料も、オーガニックのものを使っている。
くるみやレーズンなどは、輸入されたものを使用しているが、
オーガニックで育てたいという生産者の気持ちは、海を越えても同じはず。
僕ができうる限りで、おいしいパンを作りたい。
単純だけれど、大事なことだと思っている。