スペルト小麦

自家栽培している小麦は、「スペルト小麦」。
約9000年も前からヨーロッパで育てられてきた、古代小麦だ。
栽培しやすいように品種改良された現代の小麦とは異なり、
スペルト小麦は、人工的な品種改良がされていない。
栄養価が高く、血糖値が上がりにくいなど、体によい特徴があり、
小麦アレルギーが発症しにくいという面もある。


フランスを訪れたとき、スペルト小麦のパンをよく見かけた。
オーガニックのベーカリーやスーパーでは、健康的なパンとして浸透していて、
スペルト小麦のビスケットやパスタ、小麦粉なども販売されていた。
オーガニックが盛んなドイツでも、スペルト小麦の認知度は高く、
パン屋では、スペルト小麦全粒粉のドイツパンが並んでいた。


ヨーロッパでスペルト小麦のパンによく出会い、
その魅力とともに、素朴で滋味深い味わいに、とても惹かれた。
そこで、この小麦でパンを焼きたいと思ったことが、
今のグリーン サンライト ベーカリーのかたちになっている。


僕にとっては、スペルト小麦はよいことばかり。
健康によいだけでなく、栽培するのにもよい点が多くある。
固い殻に覆われているために虫がつきにくく、病気になりにくい。
また、肥料を多く必要とせず、痩せた土でも育ちやすいという特徴もある。
農薬や化学肥料を使用しない僕には最適な小麦であり、
古代小麦が持つ自然の力強さには、目を見張るものがある。


よいことづくめのスペルト小麦。
僕は、スペルト小麦の全粒粉100%でパンを作っている。
古代の人も、こんなパンを食べていたのだろうか。
タイムスリップをして、当時のパン作りや食文化を勉強しに行ってみたい。
そして、古代のヨーロッパの人に会って、言いたい。
「9000年後の時代でも、スペルト小麦のおいしさは変わらないよ!」