種まき

今年もこの季節がやってきた。


10月は、スペルト小麦の種まきの季節。
これから来年の夏の収穫まで、約1年をかけて育てていく。
小麦は秋に種を播いてから冬越しをさせるので、栽培期間が長い。
僕の中では、1年のライフワークのようになっていて、
その時々の小麦栽培の作業をしながら、四季の訪れを感じるようになった。


今年で、小麦を育て始めて4年目。
工房でパンを作るのは、年に数え切れないほど経験できるけれど、
小麦の種まきは1年に1回だけ。収穫だって、1回だけだ。
年によって、気候や気温が異なるので、
自然相手の農業は、毎年同じようにもいかない。


工房にいるだけではわからなかったことを、
畑にでるようになって、たくさん経験している。
「百姓」というのは、百の仕事ができる人という意味からきているとか。
種まきから収穫までには、いろいろな作業が伴う。
自分で農業をするようになって、百姓の大変さとともに、
原材料をつくる素晴らしさを感じている。
百姓の仕事は、食の原点だ。


土に種を播いて、小麦ができる。
それを加工して、パンができる。
それは当たり前のことだけれど、生きることにつながっている。
大袈裟だけれど、現代になっても、大昔から変わっていない。
自分で育てた小麦でパンを焼くと、食の大切さを改めて感じる。


種まきは、パンづくりの一番最初の作業。
気を引き締めて、来年の豊作を祈って、種を播いた。
この種から無事に育ちますように。1年後にパンにするのが楽しみ!