【パンの焼き色について】
丸パンは、薪窯で直焼きをしています。
当店のパンは、焼きが強めです。最近は、 よりそれを意識しています。
高温でしっかりと香ばしさを出し、 短時間で中はしっとりと焼き上げています。
全粒粉パンでありながら、口溶けの良いように作っています。
パンの焼き色やカラメル化した焦げは、 パンの香ばしさと風味に繋がります。
メイラード反応と言いますが、 パンの味わいにぐっと深みが出てきます。
お餅を焼いた時の、お焦げのおいしさが、 わかりやすいかと思います。
日にちが経ってくると、クラスト(皮)の味わいが、クラム( 生地)に染み渡ってきます。
より濃厚で複雑な美味しさを、感じることができます。
しっかりと焼き込んだパンですが、一つひとつ、 パンの焼き色は変わります。
薪窯は、薪を燃焼させ、その余熱でパンを焼きます。
炉内の状態を見極めながら、 焼成時に最適な窯具合を目指しておりますが、 制御されたオーブンとは違い、 焼く場所によって温度に微妙なムラがあり、 パンの表情は変わります。
均一化されないことにも、薪窯が作り出す、 自然のおもしろさがあると思っています。
焼き色が強めのパン、少し薄めのパン、 両方が混ざったパンなどがあり、 それぞれの美味しさを楽しんでいただけましたら、 幸いでございます。
【パンの膨らみについて】
パンの膨らみに関しても、その時々で、変化があります。
畑によって、年の気候によって、収穫したスペルト小麦の状態は、 変わります。
私たちは、その生育が、最も良い状態になる手伝いをするため、 有機肥料を施すことがありますが、無理に大きくするために、 多く肥料を与えることはありません。
畑によって、すぐ隣であっても、その地力や土壌の質は、 全く違います。
それぞれの畑での毎年の経験から、 肥料の量などを微妙に変えながら小麦を育てていますが、 どうしても、収穫した出来上がりには違いが生まれます。
パンの膨らみには、小麦のタンパク量が関係しておりますが、 畑によって、年の気候(生育時期の気温・降雨量・日照量) によっても、タンパク量は変化します。
つきましては、 自家製粉したその時々の粉によって、 パンの膨らみにも変化がございます。
流通している小麦には、タンパク量を常に均一にするために、 数種類の小麦を混ぜた小麦粉があったり、パン屋が、 小麦を混ぜて使うこともあるかと思います。
しかし私たちは、私たちが育てた、単一小麦(スペルト小麦) のみで製造しております。
古代スペルト小麦のおいしさ・素晴らしさを、 たくさんの方に広めたい。
一年一年、勉強をしながら、 古代スペルト小麦の栽培を続けています。
人が皆ちがうように、日々変化するように、 パンの焼き色や膨らみを含め、一つひとつが異なり、 揺らぎのあるパンです。
どうぞ、ご了承くださいますよう、お願い申し上げます。
農と自然を身近に感じてほしい。 農と自然が作り出すパンをお届けできることが、 私たちのできることだとも思っています。
私たちのパンを通して、自然の揺らぎを感じながら、 お召し上がりいただけましたら、幸いでございます。